思い出の地区運動会(後編)~人生の半分が借金だったオヤジの話19~

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こんにちは、とあオです。
 
かなり久しぶりになりましたが、運動会の話の続きをしたいと思います。

前回の話はこちら
   

型抜きに夢中になり、すっかりおけらになってしまった私。

運動会も終わり、夕方になっていました。 

父親は、班の飲み会で出かけ、母親は、夕飯の支度で先に家に帰っていました。 
 
私は、お金もなくなり、やることがなくなったのですが、まだ何となく家には帰りたくなかったので、友達と話をしながらブラブラ歩いていると、おもちゃ屋の屋台があり、当時、流行っていたガンダムのおもちゃがありました。

ガンダムのおもちゃといってもプラモデルではなく、ゴムで出来たおもちゃでした。

値段は1,000円くらいしたと思います。

私は、そのガンダムのおもちゃが欲しかったからなのか、友達に見栄を張りたかったからなのか、その時、友達に 「母親に言えばお金をくれるからもらってくる」 と言って、急いで家に帰りました。

家までは走って20分くらいだったと思います。 

夢中で走り、汗だくで家に着くと、帰っているはずの母親や姉弟がおらず、家には誰もいませんでした。 

私は、毎月の小遣いをもらっていたか、いなかったかよく覚えていませんが、自分のお金はありませんでした。

でも、友達に見栄を張って言ってしまったことで、何とかして母親からお金をもらおうと思いましたが、肝心の母親がいないので、どうしようか悩んでいると、母親が使っているかばんを見つけました。


赤い夕日が家の中に差し込み、シーンと静まり返った部屋に一人
悪いことだと分かっているので、心臓のドキドキという激しい鼓動
母親のかばんのチャックをゆっくり開けて、中にあった財布から1,000円札を1枚抜いた汗だくの自分


あの時の光景は、今でもはっきり覚えています。

時々、あの時の、自分は悪いことをしてしまった、親を裏切ったというなんとも言えない切ない感情を思い出すことがあり、今でも本当にバカなことをしたと反省しています。

その後のことなんですが、母親の財布からお金を盗み、急いで屋台のところに戻ってガンダムのおもちゃを買ったまでは覚えていますが、罪悪感からなのか、お金を盗んだことがバレるまで記憶がありません。

お金を盗んだことがバレたのは、帰って来た母親が、私がなぜか家にないはずのガンダムのおもちゃを持っていたのを見たからだったと思います。

母親から追及され、たぶんはじめは嘘をついたと思うのですが、子供がつく嘘なんてすぐにバレ、もうしないと泣いて謝りました。

この時、父親が出かけていていなかったので、母親は父親には内緒にしてくれました。

父親にこのことが知れていたら、往復ビンタでは済まないくらい大変なことになっていたと思います。

それだけ、父親は怖い人でした。

父親の怖いエピソードはたくさんあり、今でも時々夢に見るくらいですが、その話はまたの機会にしたいと思います。

この運動会の話は、今でもその時の風景や感情を覚えているくらい、罪悪感を持っているもので、私の人生の失敗の一つでもあり、本当に深く反省しています。

そんな両親も今は70歳を過ぎ、実家で元気に暮らしているようです。

私は新型コロナのこともあり、なかなか帰れていませんが、時々電話で話をして、元気な声を聞いて安心しています。

一昔前まで70代の高齢者といえば、ヨボヨボのじいさんばあさんという印象でしたが、今は医療が進歩しているせいか、元気な印象があります。

自分も年をとり、高齢者の年齢に近づいているというのもあるのでしょうが。

まだまだ、両親には元気に長生きしてほしいと心から願うバカ息子でした。

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